ここの建物は常に変化して、今でも作り続けられている / Lloyd Kahn

60年代、戦後のアメリカは急激な経済成長とともに貧富の格差、社会のねじれた構造が浮き彫りになり、若い世代を中心に反社会的な市民運動(ヒッピームーブメント)が始まった。ベトナム戦争や経済至上主義に反発し、愛と平和、自然と自由を尊び、新しい暮らし方を模索する彼らのバイブルとなったのが「ホールアース・カタログ」。そのシェルター部門の編集者をしていたのがLloyd Kahnだった。Buckminster Fullerに影響され、60年代の後半はドームハウス・ビルダーとして活躍した彼は、ドームの脆弱性に気づき、ベストセラーにもなったDome Bookの出版を止め、Stewart Brandのホールアースカタログの編集者に。「ドームだけじゃなく、若者が資本主義の世界から逃れる住まいのつくり方を探していたんだ。」ヨーロッパや南米、各地で伝統的な暮らしを取材してつくりあげた「Shelter」が出版されたのが1973年だった。

「何か面白いものを見つけた時に人に伝えたくなるのが私の性分なんだ。」どこの街へ行っても、どんなつまらない日でも何かしらの興味を引くものを見つけては喜びを共有する。最近ではブログを書くことが楽しくて、テーマは建築に限らず、スケートボードや写真、動物、彼の興味を引くものなら何でもアップしているという。Lloydは35年生まれ、80歳を超えても進化し続けるこの情熱は、世界への尽きることのない興味で燃え続けているのだろう。

「タイニーホームのコンセプトはSelf-sufficiency(自立した暮らし)なんだと思う。」自分自身はシンプルな暮らしではないと断った上でこう続けた。「小さな規模で自分の暮らしを支えることができるのを知ることが大切。」敷地内にはいろいろな実験の痕が見られた。温室や木工場、畑にはたくさんの野菜やハーブが、ニワトリ小屋と堆肥場、さらに動物の皮をなめす場所までが迷路のように配置されている。共通しているのは自分自身の手で必要なものを生み出していること。まるでホールアース・カタログの実験工房のよう。タイニーハウスにこだわるのではなく、自分の手でつくる暮らし、緩やかに自立したHomeとは何なのかを考えなさい、と言われたような気がした。

年を重ねた手づくりの暮らしはとても美しい風景を生みだしていた。

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SHELTER PUBLICATIONS, INC.
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