エクセルギー、拡がり散りを引き起こす力 / workshop #07

2015年11月28日(土曜日)・ワークショップ7日目

今回は建築士の黒岩さんからエクセルギーについて話を伺った。「エクセルギー」という言葉を初めて聞いたが、物理学では「拡がり散りを引き起こす能力」と定義されているのだとか。どうやら普段僕らが使うエネルギーという言葉は、エクセルギーというのが正しいらしい。石油やガス・電気などはエクセルギーであると。化石燃料や電気は遠くから運んでくるから無駄が多い。身近にあるエクセルギーをうまく活用した方が無駄が少ないということだった。

エクセルギーは、僕らの身近にも沢山存在する。太陽の光、風、人の汗や熱、生き物の活動すべてがエクセルギーなのだ。これらを見つけて、うまく集めて、となりに役立つように拡散させる。そうすれば地球にやさしい暮らしができると黒岩さんは言う。でもどうやって?太陽熱の温水器で床暖房、雨水の気化熱や床下の水タンクによる冷房。工夫を凝らして黒岩さんが設計した地球にやさしいエクセルギーハウスが小金井あるのだとか。沢山の建築家にも参加してもらい有効性を検証しているそうだ。皆で見学に行きたいと伝えると、快諾してくれた。

休憩がてら、工場の外で太陽光を使った調理器を実演してくれた。ガラスで出来た筒からは熱そうな湯気が出ていたが、筒を触っても熱くない。中からはしっかり茹であがったジャガイモがホロホロと転がり出てきた。あまり暑くなりすぎないように材料を工夫しているのだとか。材料次第で300度になるオーブンみたいな調理器も作れると熱く語っていた。ジャガイモは、もちろん皆でおいしく頂いた。

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今回竹内さんがタイニーハウスのために窓を特注した。地域材であるカラマツを使った木製の窓。カラマツの木製窓は見た目にも美しく、僕たちのタイニーハウスにもきっと似合うはず。この窓を制作したキュレイショナーの山崎さんからも少し話を伺った。カラマツは扱いにくい材料だけど、ヨーロッパでは高級木材であること。日本の窓(サッシ)は断熱性が極端に低いこと。ヨーロッパの窓は木製が多いこと。今回はカラマツ3枚を接合して作り歪みを無くす工夫をしたこと等々。仕事にかける情熱がひしひしと伝わってきた。

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休憩の後はディスカッション形式で話を伺いながら意見を交わした。快適な住宅にするためには、排熱排湿窓がとても重要で、部屋の高い位置に窓をつけることがお勧めということだった。各地域ごとの風向きを考えることも大切で、そよ風でも換気扇では太刀打ちできないほどの排熱排湿能力があるそうだ。タイニーハウスの活用について皆で考えた。排熱排湿窓は小さいながら用意した方が快適になりそうだ。移動できるから季節毎に向きや場所を変えるのも楽しそう。皆で思い思いのアイデアを出して意見を交わし、黒岩さんも楽しそうに答えてくれた。

最後は黒岩さん制作の太陽体操を皆で体験した。腕を伸ばして、太陽の位置をトレースする。冬の太陽はどの辺りから上る?南はどの高さまで上がる?西は?こうやると冬は南面しか日が当たらないのがわかるでしょう?夏の太陽はどの辺り?東は?南は?西は?こうやると夏は、東と西だけで一日中日が当たることがわかるでしょう?南は軒を作ればほとんど日が当たらないこともわかるでしょう?家を作るときには、この体操を思い出しなさい、自然の力をうまく使いなさい。肩が柔らかいことを自慢したかったのだと笑いながら声をかける黒岩さんが印象的だった。

文:阿川 裕之
写真:三枝ナオミチ
映像:Ben Matsunaga
講師:黒岩哲彦(エクセルギーハウス
ゲスト:山崎慎一郎(山崎屋木工製作所